2014年のオープン以来、独自の中華料理で人気を博している『の弥七(のやしち)』。二つ星の『御田町 桃の木』で腕を磨いて独立した店主・山本眞也(やまもと しんや)氏は、開店から約2年後の2017年6月、「料理一つ一つの質を上げ、お客様の満足度を高めたい」という想いから、旧店舗と同じ荒木町内で移転リニューアルオープン。自身の理想とする料理を生み出し、日々進化し続けている。
山本氏が目指すのは、「中華料理を食べたという満足感がありながらも、軽い食後感を与える料理」。これを実現するために取り入れたのが、和食の調理技術だ。たとえば、料理のベースで使用する清湯スープは、本来は鶏のガラに鶏や豚の挽肉を合わせて作るが、『の弥七』では、鶏ガラではなく昆布を使用することで、鶏独特の臭みがなく素材の旨味のみを引き出している。また、中華料理には「香り、色、味」の3つの要素を基本する考え方があり、それらは醬(ジャン)などの調味料を使って表現されることが多い。山本氏は、この3つの要素のバランスを考慮しながらも、特に香りの部分では「素材の香りを引き出す」という解釈を行ない、の弥七流の料理に仕上げている。
店内は、音漏れの少ないタモ材をふんだんに使用した和の空間。カウンター席は、板場と客席との間にゆとりを持たせ、ゆったりと寛げる設えにしており、山本氏が鍋を振るライブ感を楽しむことができる。個室は最大12名まで利用可能だ。中華料理と和食の双方の長所を引き出した新たな料理観を、ぜひご堪能いただきたい。
■アクセス
東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目駅」4番出口より徒歩3分
都営新宿線「曙橋駅」A1出口より徒歩5分