京都の台所、錦市場から堺町通を北へすぐ。木の温もりが感じられる京町家に『なる屋』の屋号が記された小さな看板がかかる。店主の上嶋良太氏は、京都の老舗料亭「瓢亭」「和久傳」での修業を経て、ニューヨークの精進料理店「kajitsu」の店長として2年余り腕を揮い、その後帰国。2014年6月に現在の店を開業し、翌年には早くも世界的グルメガイドの星を獲得した。
カウンター7席のみの店内は坪庭が設えられ、凛とした大人の雰囲気が漂う。その時季に手に入る最高の食材を使って作る料理は、どれも丁寧に手間暇をかけたものばかり。「普段から食べている食材、初めての食材にかかわらず、店に来てもらったからには、自分の作る料理から新しい発見をしてもらうこと、記憶に残る食事をしてもらえることを常に考えています」という上嶋氏。つかずはなれずの接客も心地良く、カウンターでの一期一会の会話もまた、美味なる食事の一部として記憶に残るであろう。季節ごとに訪れたい、京都の新たな名店だ。
※世界的グルメガイド京都・大阪 2023年度版にて一つ星を獲得
■アクセス
京都市営地下鉄烏丸線 四条駅 徒歩5分