「麻布十番」駅から徒歩2分。2017年12月に、情熱溢れる若き鮨職人の店がまたひとつ誕生した。34歳にして独立を果たした水谷薪介(みずたに しんすけ)氏の店『鮨 薪介』だ。
水谷氏は、地元長崎にて訪れた老舗鮨店で大将の所作に惚れ込み、鮨職人を志すことを決意。19歳で同店に懇願し、1ヵ月間無給で働かせてもらい修業をスタートさせた。その後すぐ、東京の鮨店で修業することを勧められ、身一つで上京。都内の鮨店を食べ歩き、働かせてほしいと交渉するというタフな一面もある。
そうして出会った都内の名店で6年間修業、その後も意欲的に『椿』(銀座)、『鮨 銀座おのでら』(ハワイ)や、『鮨 竜介』(銀座)など、さまざまな鮨店を経て、銀座の懐石料理店ではサービスマンとして勤務したことも。英語の習得や、和食のテーブルマナーの知識、サービス力など、鮨を握る以外の部分でも経験を積んだ。
「自分一人の力では、いい店はつくれません。お客様、食材、スタッフへの『愛情』を最も大切にしています」と語る水谷氏。ゲストやスタッフとともによりよい空間をつくりあげ、美味しく幸せになれる鮨店が、水谷氏の理想とする店だ。
カウンター8席の店内は、ステンドグラスを施した天井や、白木のカウンターが非日常感を演出。毎日、営業前にはミーティングを欠かさず行ない、営業中はゲストの雰囲気を感じ取りながら、料理の説明や声をかけるタイミングを見計らい、きめ細かなサービスを徹底する。鮨は、国産・天然素材にこだわった正統派の江戸前鮨。築地「やま幸」の鮪など一流の素材に合わせるのは、「横井醸造」の米酢と赤酢をブレンドした深みのある酢飯。江戸前の伝統を尊重しながらも固定概念にとらわれないその鮨は、輝ける舞台を得て日々進化し続けている。
■アクセス
東京メトロ「麻布十番」駅4番出口より、徒歩2分