JR「目黒」駅からタクシーでワンメーターほど。目黒通り沿いに路面店を構え、2017年11月にオープンした『kabi』。国内外の一流店で経験を積んだ20代のシェフとソムリエ、有名パティシエールがタッグを組んで立ち上げた店として話題を呼び、開業間もなくして食通や世界の料理人から注目を集めているレストランだ。
シェフの安田翔平氏は、岡山の鴨方に生まれ幼少の頃よりフランスの三つ星での経験もある父の味で育つ。フランスのレストランや大阪の二つ星『ラ・シーム』を経て、東京・白金の『Tirpse(ティルプス)』でスーシェフに。その後、デンマークに渡り、一つ星『Kadeau(カドー)』でシェフを務めた人物。一方、ソムリエの江本賢太郎氏は、山口県宇部市に生まれ、幼少の頃からレストラン好きが高じてレストランを開業することを志し、最初は料理の道へ進む。19歳の頃のフランスでワインに出会いソムリエの道へ、『銀座レカン』、『オー・プロヴァンソー』(東京・麹町)などの名店で経験を積み、カリフォルニアへ留学。その後、オーストラリアにてワイン醸造を学び、メルボルン『NORA』にて シェフソムリエを務めた。さらに、デザートを手掛けるのは、パリで研鑽を積み、『Tirpse』でシェフパティシエを務めた中村樹里子氏だ。
海外での経験も豊富な3人が、出店するにあたりコンセプトに掲げたのは、「日本の素晴らしい食文化を、自分たちらしい表現で世界に発信していく」こと。そして、日本の食文化を伝えていくために選んだのは、フランス料理ではなく、この国に根付く“日本料理”。それも、いわゆるかしこまった日本料理ではなく、日本の伝統的な食材や食文化、調理法を基軸としながら、『kabi』でしか食べることのできない独創的な料理で、各自が好きな設えを施した空間や好きな音楽とともに提供する。
例えば、コースのメニューで定番なのが、漬物、出汁、魚の酢漬け。これらに合わせて江本氏が提案するペアリングも、ワインやビール、日本酒、日本茶、カクテルなど多彩な内容で、新たな発見が楽しい。
1930年代に造られた歴史ある古民家を生かし、オープンキッチンを囲むカウンター席を基調にテーブル席、店内奥には個室も用意。
作家と話し合い作ったお皿や箸、ハンドメイドのグラスなどテーブルの上に乗るものは出来る限り手作りにこだわる様など、次世代を担う若手の職人が生み出す、新しい“日本料理”の世界観を、ぜひ一度ご堪能いただきたい。
※世界的グルメガイド東京2024年度版にて一つ星を獲得
■アクセス
JR、東京メトロ「目黒」駅より、徒歩15分