さまざまな人気店が集まる日本橋人形町で、2016年10月に静岡から移転リニューアルオープンした天ぷら店『日本橋 蕎ノ字』。「天ぷら食って蕎麦で〆る」をコンセプトに、厳選した野菜や魚の天ぷらだけでなく、〆には喉ごしの良いそばが食べられる店として注目を集め、全国のゲストや料理人が足繁く通う。2019年度版の世界的グルメガイドブックにて、一つ星を獲得した。
店主の鈴木利幸(すずき としゆき)氏は、静岡県島田市にある蕎麦店『細島屋』の長男として生まれ、調理師専門学校卒業後、実家で7年、同じ島田市の日本料理店『柿の木』で2年間修業し、2000年に『蕎ノ字』を開業。過去に、伝説の天ぷら職人、早乙女哲哉氏率いる『みかわ是山居』で食べた天ぷらの味に衝撃を受けたことをきっかけに、天ぷらを中心にして〆にそばを提供するスタイルで店づくりを行ない、地元で人気を博した。そして、「静岡で長年扱ってきた最高の野菜と魚の天ぷらを、東京の人にも味わってほしい」という想いから、東京・日本橋へ移転を果たしている。
天ぷらは、静岡の人参、熱を入れるとアワビのような食感になる「玉取茸」など、東京では出回ることが少ない静岡産の野菜やキノコ、駿河湾の魚介類、さらに鹿肉なども天ダネにしているのが特徴だ。また、いままでの修業経験を生かして提供する〆のそばは、益子産や川根産のそば粉を使い、二八で手打ちする。お酒も地元にこだわり、日本酒は島田市の大村屋酒造の銘柄のみ。代表的な「女泣かせ」や「重兵衛」など、東京ではなかなか出会えない日本酒を季節ごとに3〜4種類用意する。
凛とした雰囲気のある店内は、檜を使用したカウンター8席のみ。高級店が多い都内の天ぷら店と比べると、リーズナブルな価格で肩肘張らずに楽しめ、お一人様、仕事仲間との食事、接待、ご夫婦の記念日など幅広く利用可能。東京にいながら、静岡の食材の魅力を存分に堪能できる貴重な天ぷら店だ。
■アクセス
東京メトロ『人形町』駅より、徒歩3分
東京メトロ『水天宮前』駅より、徒歩5分