広島市中心部から宮島へ向かって西方面へ進み、古江駅を下車して徒歩約5分。閑静な住宅街にあらわれるのが、一つ星のフランス料理店『ル・ジャルダン グルマン』。緑に囲まれた一軒家レストランで、小山 賢一(こやま けんいち)シェフとマダムが、まるで我が家に招き入れるように迎えてくれる。
小山シェフは広島県出身。高校卒業後、福岡で叔父が経営する飲食店を手伝っていた時に本格的なフランス料理に出合い、衝撃を受けたという。フランス料理のシェフを目指すことを決意し、1986年に渡欧。まずはスイス・ジュネーブ『ホテルペンタ』、ベルン『レストラン ピュネー』で修業を始める。続いてフランスに移り、二つ星を獲得して勢いのあったマルク ヴェラ 氏による『オーベルジュ ドゥ レリダン』に入店。その後、小山シェフに大きな影響を与えることになる『ル ジャルダン グルマン』へ。ピエール ブースロウ氏から、料理の技法はもちろん巨大市場での食材の仕入れからワインの購入まで、フランス料理店に必要な知識を広く伝授される。その後は会員制ホテルレストラン『サンジェームスクラブ』を経て、帰国。ヨーロッパで修業中、一番お世話になった『ル ジャルダン グルマン』に敬意を表し、暖簾分けを受け、1990年に地元広島で『ル・ジャルダン グルマン』をオープン。広島を代表する一つ星フレンチレストランとして、グルマン=美食家たちを魅了し続けている。
「クラシックを基調に、自分らしいエッセンスを加えてモダンに仕上げる」のが、小山流。例えば、毎朝手入れする自家菜園で、旬の芽吹きを見つければ、それをいかに料理に使うかを考える。「何気ない発見を皿の上で伝えられたら楽しい」という自然派だ。こだわりの食材は、島根県邑南町「無農薬の白トウモロコシ」、吉野川「天然ウナギ」、安芸太田町「見浦牧場の黒毛和牛」、大崎上島のシイタケ、柑橘、しょうゆ、天草「赤ウニ」、新潟「パッションフルーツ」など、地元や近郊のみならず、全国から取り寄せる。生産者たちが食材にかたむける情熱に感銘を受け、つながった縁を大切するため、一度使い始めた食材は、その後も定番として、末永く『ル・ジャルダン グルマン』の料理に登場する。さらに、広島県呉市の瀬戸鉄工で黒胡椒やバラなどをプレス加工し、料理に取り入れるなど、モダンの追求にも余念がない。厳選したワインは、フランスのレストランで学んだ方法で買い揃えたものを、店で熟成させる。良いコンディションのまま飲み頃をむかえた極上のワインたちが、ワインセラーで各々の出番を待っている。
ダイニング(テーブル24席)は、ゲートからエントランスまで続く自家菜園を眺めることもできる開放的な空間。デートでも、友達や家族との会食でも、普段よりすこしドレスアップして優雅に楽しみたい、広島の一つ星フレンチレストランだ。
■アクセス
広電2系統(宮島線) 古江 徒歩5分