北陸の玄関口・小松空港から車で20分の住宅地にある、一つ星『SHÓKUDŌ YArn(ショクドウ ヤーン)』。建物は素朴な平屋建て。中に入ると店の中心にオリーブの古木があり、それを囲んでガラス張りのキッチンと客席がある。オーナーシェフ&ソムリエを米田裕二氏、デザートシェフ&ハーブコーディネーターを妻の米田亜佐美氏がつとめる、Wシェフ体制だ。
シェフの米田裕二氏と米田亜佐美氏は、スペインの星付きレストランやイタリアのレストランなどで修業、2015年に亜佐美氏の実家の撚糸工場跡に『SHÓKUDŌ YArn』をオープンした。二人が修業したモダンなスペイン料理の手法で、日本の家庭料理からアイデアをとったおまかせコースを提供する。
料理はまず、目の前に置かれた能登ヒバの箸から始まる。握るとヒバの香気が漂うこの香り箸が、これから始まる料理の合図となる。おまかせコースの食材は半分以上が小松はじめ石川県から集められたもの。たとえば料理に使う水は「平成の名水百選」に認定された石川県能美市仏大寺にある遣水観音山霊水堂の霊水で、シェフみずから汲みに行く。柔らかく、昆布だしが開きやすい水だ。
ゲストにはメニュー表が事前に渡されるが、その名前だけではどんな料理が出てくるのか想像ができない。それもシェフのねらいで、先入観なく料理を楽しんでほしいという思いがこめられているという。オープン当初から提供している「肉じゃが」は、日本人にはおなじみの料理を、食感やニュアンスを変えて、見たことのないアプローチで提供され、ゲストを飽きさせない。シェフみずからがゲストの前で料理を仕上げるものもある。料理を囲んで、楽しく会話がはずむことだろう。
ゲストの年齢層は幅広く、家族連れや妊婦さんをはじめ、高齢のゲストも多い。みんなで料理を楽しむ一席におすすめだ。基本は4名テーブルが2つで、最大14名まで。料理に合わせるワインは、フランスを中心にスペイン、イタリアなどから300種類、地元の銘酒も10種類程度そろえる。和の中に洋のエッセンスをこめた、木材の温かみが感じられる空間で、楽しいひとときを過ごしていただきたい。
■アクセス
JR北陸本線(米原〜富山) 小松駅 タクシー10分
小松空港からタクシー15分