石川県・能登半島のほぼ中央に位置する七尾市で店を構える一つ星日本料理店『一本杉 川嶋』。七尾市出身の大将・川嶋 亨 (かわしま とおる)氏が、なじみのある一本杉通りのにぎわいを食で取り戻そうと、腕を振るう。
日本料理店で総料理長を務める父親の元に産声を上げた川嶋氏。大阪の辻調理師専門学校 エコール辻日本料理課程を卒業した後、大阪や京都で修業を重ねた。「日本料理の基礎を徹底的に叩き込み、だしへのこだわりを身につけ、日本酒や器を学び、経営や接客も習得」と、恵まれた環境に甘んじることなく、すべてを自分のものにするために研鑽を積んだ。故郷に戻ると、「和倉温泉 日本の宿のと楽」の中にある『割烹 宵待』の料理長として大型店を経験し独立。2020年7月、『一本杉 川嶋』を開店した。
修業の間、2013年に出場した「食の都・大阪グランプリ」で総合グランプリに選ばれ、2018年には 日本最大級の若手料理人コンテスト「RED U-35」で567名の中からファイナリストに選ばれ、ゴールドエッグを獲得した実力派だ。
「港が近く、かつてはにぎわっていた一本杉通りがそうだったように、人と人とのつながりを大事にしたい」と話す川嶋氏。食材も地元・能登のものを第一に使用する。「能登の魚介も素晴らしいが、能登の野菜や魚介は、2011年に能登の里山里海・世界農業遺産に認定されるほどポテンシャルが高い。その良さを伝えるだけではなく、最大限に引き出せるようにシンプルな料理を心がけている」という。ポイントとなるだしは、カツオ節こそ鹿児島県の枕崎産だが、地元の専門店によるコンブと、能登のやわらかく澄んだ水でひく。日本酒は、川嶋氏が好む石川『手取川』や、能登の『谷泉』ほか地酒を6〜7種類に、全国から季節のものを数種類置く。
店舗は、築80年ほどの旧・万年筆店で、有形文化財に指定される趣のある建物。樹齢250年を超える国産タモの一枚板カウンターは7席。テーブル席(4名と6名)とも、職人が手作りした座り疲れない椅子が用意される。こだわりが詰まった『一本杉 川嶋』を、家族や友人、仕事仲間との会食やデートで利用され、能登の魅力を堪能していただきたい。グルメ仲間と、遠路はるばる訪れる価値のある日本料理店であることも間違いない。
■アクセス
JR七尾線 七尾駅 徒歩7分