鎌倉駅から徒歩15分、安国論寺近くに店を構えるのが日本料理店『鎌倉 北じま』。山の麓にあり、小鳥のさえずりと緑に囲まれた古民家料理店で、大将の北嶋 靖憲(きたじま やすのり)氏が腕を振るう。
北嶋氏は、京都『和久傳各店』で研鑽を積み、『和久傳』が手がける『丹』の料理長として活躍。その後独立し2021年5月、故郷である鎌倉に自身の名を冠した『鎌倉 北じま』を開店した。
「京都で長年学んだ事を、違う場所・違う食材で自分の料理として表現したい」という北嶋氏が掲げるテーマは、“紡ぐ”。命がけで漁獲された魚介は、ていねいに仕立て店まで運ばれる。肉や野菜は手間暇かけて育てられる。建物や器も同じく、魂込めて作られている。いろいろな人の手のかかったものを受け継ぎ、全ての想いを一皿の料理に集約し、その紡いだ想いを北嶋氏が最高の味に仕上げ、その料理をお客様が味わった瞬間にストーリーが完結する。
魚介は地元の相模湾のものを。野菜は、無農薬・無肥料で“体が喜ぶ”ものを使う。料理のスタイルは、京都で会得した“野趣と文化”をベースとし、シンプルに食材を表現。旬の食材の中でもその日一番状態の良いものを厳選する。要となる出汁には、「上花かつお」「本枯節」「マグロ節」の3種をブレンド。香りとうま味のバランス良い0.01ミリの削りたてを、弱アルカリ性の軟水で取った出汁が季節感あふれる食材たちに寄り添い彩る。
緑豊かな景観に溶け込むシックな店構え。店内も土壁とムクを使用したナチュラルな風合いで、カウンター8席の居心地の良い空間だ。器は新旧織り交ぜて用意。古いものは初期の伊万里焼や古染付。また「北鎌倉で子供の頃遊んでいた場所に、魯山人の窯があった」という縁のある、北大路魯山人作の器もそろえる。
歴史を感じる鎌倉にたたずむ『鎌倉 北じま』を、食の楽しみ、喜びを共有できる仲間、友人や家族、カップルなどで利用され、野趣あふれる料理で紡がれたストーリーとともに堪能していただきたい。
■アクセス
JR鎌倉駅より徒歩15分またはバス「名越」より下車徒歩3分