日本海に面し、富山湾沿いに氷見漁港ほか多数の漁港を抱えた海の幸が豊富な富山県。『来人喜人(きときと)はぎ原』は、富山地方鉄道富山軌道線(市電)丸の内駅から徒歩7分、富山の中心地からほど近い静かな場所にある。店は2011年に富山駅前に開業、2019年に現在地に移転した。敷地内には、富山市桜木町にあった昭和4年創業の老舗料亭(『金茶寮』)のお茶室が移築されている。
料理長の萩原 豊(はぎわら ゆたか)氏は富山県出身。実家が鮮魚店を営んでおり、幼いころから新鮮で良い魚介類に触れて育った。料理以外の仕事に就いたのち、料理の世界に転向。魚介類を買ってくれたお客さんの笑顔が、自分が手がけたものを手渡せる喜びとして萩原氏の料理への思いを後押ししている。世界的グルメガイドブックで、一つ星を獲得している。
料理は、富山の四季の食材を余すことなく感じ取れるように工夫が凝らされている。食材のほか、食器やしつらえにも富山のものを用い、水は上市(かみいち)町にある湧き水を使用し、やわらかな軟水はだしの昆布の味をよく出してくれる。一番だしはカツオとマグロの合わせで出す。富山の郷土料理ます寿司は『来人喜人はぎ原』の名物で、鱒とご飯の間に、鱒の子ととろろ昆布が挟まっている。また、通称「池多牛」と呼ばれている富山・池多ファームの牛肉を新玉ねぎやクレソンを薬味にいただく豆乳鍋も人気だ。夕食後は敷地内のお茶室に移動、萩原氏がみずからたてるお茶とお菓子をいただくことができる。
ドリンクは富山・氷見「セイズファーム」など、日本酒は地元地酒を10種程度揃える。富山は通年で雪解け水を供給する立山連峰を抱え、名水の選定を受けた水系をもとにした銘醸地が多い。ここではその日本酒と料理との相性も楽しめる。
大きな民家を改装した店内は、木の温かみを生かしたモダンな仕上げ。カウンター8席に個室が2部屋。記念日や家族のお祝い、県外の人の接待はもちろん、ぜひ、富山を味わいたい人と訪れたい。
店名の「きときと」は、富山弁で「新鮮な」という意味。特に、新鮮な魚介類をいうときに使われることが多い。その飛び切りの魚介類を富山でいただける贅沢を、『来人喜人(きときと)はぎ原』でぜひ味わっていただきたい。
■アクセス
富山駅より市内電車丸の内駅から徒歩7分