歴史の街京都の中心部、京都市営地下鉄烏丸線四条駅から徒歩2分、仏光寺通から細い路地を少し入ったところに『熙怡 Kii(きい)』はある。古民家を改築した奥まって落ち着いた外観に、木製の店名の看板が浮かび上がる。この中でどんな世界が展開されるのか、思わずわくわくさせられるたたずまいだ。
シェフは西山 哲平(にしやま てっぺい)氏。イタリアに憧れ、イタリア料理の料理人を志し渡伊。イタリア・ベルガモの三つ星『ダ・ヴィットリオ』ほかイタリア屈指の名店で修業。最後にスペイン・バスクの『ムガリッツ』で働いた。帰国後2013年に京都伏見・中書島に『センプリチェ』を開業。2019年に現在地に『熙怡 Kii』として移転オープンした。
料理はイタリア料理をベースにしながら、素材の良さを活かす仕立ての「西山料理」とでもいうべき、独自の域に達している。野菜や魚介も、付き合いの長い専門店からトップランクのものを仕入れる。調理をシンプルにして、素材の味を活かすためだ。肉は京都・亀岡の七谷鴨などを厳選している。パスタは毎朝手打ちで主に細い麵を作る。メニューは月替わりで、ピークの魚を見て天候などを加味するため、毎日異なる料理となる。ゲストに少しでも喜んでほしいという西山氏の考えのあらわれだ。
ワインは100種近くあり、シャンパーニュ以外すべてイタリアのもの。グラスでも提供しており、ペアリングも希望があればゲストの好みや体調によって量を調整しながらおまかせにすることもできる。日本酒も季節のもので料理に合うものを10種程度揃えている。
シンプルで木のぬくもりを感じさせる店内はカウンター6席。カウンターの一枚板は厚みがあってやわらかい国産のもみの木で作られている。
店名の『熙怡 Kii(きい)』とは、やわらぎ、よろこぶこと、なごやかに楽しむことという意味で、弘法大師(空海)の著書にも出てくることばだ。西山氏はその精神を大切に、カウンターから話しかけるなどして、ゲストに楽しく和やかな時間を過ごしてもらうことに気を配る。「ええ時間だった」と思って帰ってもらうことこそ、西山氏が最も望むことだ。
ぜひ食が好きな人と訪れ、『熙怡 Kii(きい)』の料理とシェフのおもてなしの精神で、心がほぐれるひとときとなるにちがいない。
■アクセス
地下鉄四条駅6番出口から徒歩1分