京都の雅あふれる絹織物の町、西陣に店を構えるのが日本料理店『天若(てんじゃく)』。大将の西岡 瞭(にしおか りょう)氏が、心を込めてお客様をもてなす。
元々『天若』は、西岡氏の祖父が同店名『天若』で営んでいた京料理店。お客様が祖父の料理に満足し、笑顔で帰っていかれる姿を見て育った西岡氏は、3歳の頃から『天若』を継ぐことを心に決めていたという。慶應義塾大学卒業後、2014年に『天若』入り。祖父の元で腕を磨くも、祖父が高齢のため2017年に一旦休業。西岡氏は京都の二つ星、『高台寺和久傳』や『おたぎ』で研鑽を積み、2021年12月に『天若』を改装オープン。同場所にかつてのにぎわいを取り戻した。
店名が示すように、『天若』の懐石料理には天ぷらが一品入るのが特徴。新生『天若』でも引き継がれる天ぷらは、盛り合わせの一皿ではなく、天ぷら専門店のように一品一品目の前で揚げて提供する。料理は「八寸」から始まり、京都らしさを目で、舌で堪能できるインパクトある組み立てだ。また、アツアツの天ぷらを自然派ワインや中国茶とともに楽しむことができる。
食材は地元京都のものを中心に、西岡氏自身が生産者の元に足を運んで納得した全国の食材を使用。「それぞれの食材のこだわりをお客様にお伝えする。食文化はもとより、建物から包丁、掛け軸まで職人技といった日本文化が集結するのが日本料理店。『天若』は料理を通して日本文化に出会える場所にしたい」と西岡氏。器は骨董から現代作家まで揃える上、禎山窯や楽焼窯元和楽で自ら陶工した器も料理を彩る。
目を引く尾州ヒノキの一枚板カウンター(8席)は、祖父の『天若』から受け継がれている。樹齢1000年ともいわれ、厚み14センチ近くの重厚感で店内をあたたかく包んでくれる。京都の粋を感じる『天若』を家族や友人、同僚やカップルなどで利用され、日本文化を再発見されてはいかがだろう。
■アクセス
京都市バス「千本今出川」から徒歩2分