1962年創業。札幌の老舗日本料理店『すすきの浪花亭』と扉を同じくし、隣合わせに店を構えるのが『天ぷら成(masa)』。大将の村井 成至(むらい まさゆき)氏が“蝦夷前” 天ぷらを標榜し、腕を振るう。
『すすきの浪花亭』の三代目として生を受けた村井氏は、京都の老舗料亭『菊乃井』で7年修業。その後、同店の二代目として店を切り盛りする父親の勧めもあり上京。名店『てんぷら 近藤』で天ぷらのノウハウを学ぶ。帰郷後の2021年4月、『天ぷら成(masa)』をオープン。店名のロゴ「成」の文字は、父親が『てんぷら 近藤』の油と小麦粉を墨に溶き書したもの。三代目が生み出す天ぷらへの期待の高さがうかがえるエピソードだ。
コースは、季節の料理2〜3品に、北海道の旬を感じられる魚介や野菜の天ぷらが10品ほど提供される。春には村井氏自身が採取した山菜を揚げ、そのストーリーをお客様と共有。またホタテやウニといった北海道といえばおなじみのものはもちろん、サバやハタハタなども天ダネとし、北海道食材のさらなる旨みを知らしめる。
揚げる油は「太白胡麻油」と「太香胡麻油」をブレンド。小麦粉は冷凍庫に3日間置いて水分を飛ばし、パウダースノーのようにサラサラの状態に。こだわりは〆のご飯を炊く鍋にもおよび、室蘭工業大学の教授に依頼したオリジナル鉄鍋を使い、北海道のブランド米「ゆめぴりか」を炊き上げる。だしと一緒に炊き、季節の魚介を豪快に混ぜ込む釜飯で〆るのもこの店ならでは。
ワインや日本酒も北海道産を豊富にそろえる。中でも「シイタケの天ぷら」と、ドメーヌタカヒコ「ナナツモリ ピノ・ノワール」とのマリアージュはワイナリーからもお墨付きだ。
札幌軟石をあしらった壁に、旭川のナラの木を使ったカウンター(8席)と、店内の至る所に北海道の魅力を散りばめる。北海道愛あふれる村井氏の“蝦夷前” 天ぷらを、家族や友人、同僚やカップルなどで存分に味わい、楽しんでいただきたい。
■アクセス
南北線すすきの駅2番出口より徒歩2分