ここにしかない「熟鮓(なれずし)」の味を求めて、日本のみならず海外からも食通たちがこぞって訪れる『徳山鮓（とくやまずし）』。滋賀県長浜市は琵琶湖の北端、余呉湖の湖畔にたたずんでいる。日本の原風景に溶け込むこの場所で、大将の徳山 浩明（とくやま ひろあき)氏が、娘夫婦の舞(まい)氏、那由太(なゆた)氏と共に、ゲストを温かくもてなす。
滋賀県出身の徳山氏は、高校卒業後、京都の老舗料亭『河しげ』で修業。その後、地元の旅館で料理長を務めていた時に出逢ったのが、発酵博士として知られる東京農業大学の小泉武夫教授である。徳山氏が、幼い頃から父親が作っていた発酵食が、近年は衰退し始めているのでなんとかしたいと思っていた矢先、小泉教授より「これからは発酵の時代がくる」と背中をおされ一念発起。郷土料理「熟鮓」に着目し、試行錯誤の末、多くの人にも食べやすい味わいに行きついた独自の「熟鮓」を考案。その味の評判は瞬く間に広まり、2004年オープンの『徳山鮓』を、国内外から食通が集まる人気の郷土料理店へと押し上げた。その『徳山鮓』を支えるのが、右腕の那由太氏。京都の一つ星割烹『祇園川上』で修業中に『徳山鮓』の長女、舞氏と出会い結婚。その後は義父の徳山氏に師事し、現在は二番手として腕を振るう。舞氏も調理とサービスをサポートし、家族一丸となって『徳山鮓』を支えている。
魚と塩と米飯で乳酸発酵させる「熟鮓」は、鮨の元祖とも言われるが、独特な強い香りで好みが分かれるもの。そこで徳山氏は、これまでの概念を外し、漬け方も工夫した独自のやり方で、じわっとうま味が感じられる「徳山鮓ならではの熟鮓」を作り上げた。コース料理は、名物の「熟鮓」をはじめとして、春は野山に自生する山菜、夏はウナギにアユ、冬はジビエ肉など、四季折々の食材で自然を興じ、味わう。冬から5月頃に登場する「熊鍋」は、熟鮓の酢飯を使った徳山氏秘伝のスープで振る舞われる。とりわけ、4月下旬から5月初旬のわずかな期間だけ開く花山椒と一緒に楽しむと香り広がる格別な味わいとなることから、その時期には我先にと予約が殺到する。
「わざわざ足を運んでいただくお客様には、地産地消、つまりは店から数km圏内にわたって育まれた地元の食材を楽しんでいただきたい」と徳山氏。漁業権をもち、ワカサギや鯉、鰻などを湖や川へ、ジビエの鴨や猪も必要な分だけ獲りに行き、畑で野菜も栽培する。また、山菜は周期で収穫の場所を変えるなどして、後の世代にも残していけるよう、自然保護にも力を注ぐ。そばで見つめる那由太氏も「自ら収穫した食材を一切無駄にすることなく、おいしく調理したい。今まで以上に、食材に対する責任感が芽生えた」と語る。
日本酒は、車で10分圏内の隣町にある冨田酒造「七本鎗」の純米酒のみ4種類を置く。なぜなら、山菜や自家菜園の野菜、米、余呉湖の魚など、すべて一つの地域の同じ水が使われており、料理との相性がよいため。これは開店以来変わらないこだわりでもある。ワインも特別。ニュージーランドの造り手と相談して、「徳山鮓の熟鮓」に合うオリジナルのリースリングを作ってもらうほどのこだわりようだ。その他、日本とフランスをメインに、シャンパーニュ、赤、白10種類を用意する。
湖をのぞむロケーションに相応しく、ダイニングは木をふんだんに使い、自然を感じさせる作りになっている。個室4部屋（2～4名）と離れ（6～8名）を用意。『徳山鮓』で約束されるのは、滋賀・余呉湖の湖畔で過ごす特別な時間、特別な空間と特別な味、特別なもてなしである。家族や友人、食通の仲間と、またはデートでも、オーベルジュとして穏やかな寛ぎの時間をお過ごしいただきたい。
■アクセス
JR北陸本線(米原〜近江塩津) 余呉駅下車 送迎あり
▼ご予約の際に、ご来店方法について、「車」か「JR」かをご記入くださいませ。
JRをご利用の際には、最寄駅の余呉駅までご送迎をいたします。
・ランチ：11:29 余呉駅着の電車のご利用をお願いしております。
・ディナー：17:29 余呉駅着の電車のご利用をお願いしております。
