京都・四条駅から徒歩5分、個人商店が立ち並ぶエリアに茶懐石を基本とする京料理店、『じき宮ざわ』はある。料理長の泉 貴友(いずみ たかとも)氏は、京都の料亭『天㐂(てんき)』で修業した後、当時『じき宮ざわ』の店主であった宮澤 政人氏の料理に感銘を受け、弟子入り。2014年に宮澤氏が姉妹店の『ごだん宮ざわ』をオープンさせると同時に、泉氏が『じき宮ざわ』の料理長に任命された。
宮澤氏から教わった「典座(てんぞ)教訓」にある、「食材は命。食材を何一つ無駄にしないこと」を信念とし、泉氏は食材の命とそれに関わる生産者がつなぐ気持ちも含めて、食材の良さをいかした料理を提供する。泉氏率いる『じき宮ざわ』では独自の発酵料理が特徴。うま味を引き出すために魚を熟成させたり、乳酸菌を用いて野菜を発酵させるなど、従来の日本料理には留まらない新しい味を追及する。食材の野菜は京野菜専門店ではなく八百屋から、魚介類は信頼する方の目利きに任せて錦市場から仕入れる。名物は自家製の「焼胡麻豆腐」。ゴマに葛を通常の倍ほど入れて丹念に練り上げることで、コクが出てとろけた食感になる。おもたせやオンラインでも販売されるほどにゲストを虜にする逸品だ。日本酒は全国から20種類を取り揃える。「御神酒」を目指す島根・板倉酒造「天隠(てんおん)」は体に馴染む味で泉氏の料理との相性も抜群。ワインは主にナチュールワインを揃え、日本料理とのマリアージュに魅了されるゲストも多い。ペアリングをお願いすればワイン、日本酒とも泉氏がオススメを提供してくれる。
店内にはカウンター10席が並び、正面に見える窓には京都「唐長(からちょう)」の白い唐紙が施され、昼は庭のグリーンとのコントラストを楽しむことができる。こだわりのある器は骨董から若手作家のものまで、料理に合わせて使用。おひとり様利用やデート、友人や家族との食事、海外ゲストのおもてなしなど多様なシチュエーションでお楽しみいただける。「薬膳鍋」「出汁しゃぶ」「おつまみ5品」などのお取り寄せメニューも充実。食事という行為と真摯に向き合う『じき宮ざわ』の、丁寧な手しごとの味わいをぜひご堪能いただきたい。
※世界的グルメガイド京都・大阪 2023年度版にて一つ星を獲得
■アクセス
京都市営地下鉄烏丸線 四条駅 徒歩5分