山奥の二つ星 Destination Restaurant『L'évo(レヴォ)』。2020年12月に富山市から現在地に移転。利賀川を望む約7,500㎡の土地を切り開き、レストラン棟と宿泊棟をいちから作り上げた。
『L'évo』のある富山県・利賀村は、1000m級の山々と急峻な峡谷が織りなす緑豊かな地域だ。世界遺産である五箇山の合掌造り集落にも近い。富山市内から、また金沢市内からも車で約90分。最寄りのJR城端駅からだと車で40分程度となる。また、宿泊のゲストはJR越中八尾駅から送迎を頼むことも可能だ。車から降りた瞬間、澄んだ風がほおをなでる。決して交通の便が良いとはいえない分だけ、レストランへの訪問は心に残るものとなるだろう。
シェフは谷口 英司(たにぐち えいじ)氏。大阪出身の谷口氏は、日本国内やフランスの三つ星店で修業。富山市南部で『L'évo』をオープンさせたのは2014年のこと。そのあと一つ星を獲得し、世界的グルメガイドブックの日本版では最高賞である「今年のシェフ賞」を2017年に受賞した。
料理は、富山の食材の豊かさを存分に味わえるフランス料理だ。日本海と山岳地域の両方をもつ富山県は、海のものも山のものも特産品が多い。スペシャリテとして以前から人気の「レヴォ鶏」も健在。谷口氏のために育てられた鶏のもも肉に地元の銘酒満寿泉の酒米を詰めて焼き上げたものだ。そのほかにも地元のクマやニホンジカなど、ジビエがコース料理のメインを飾る。魚介類は四方(よかた)漁港近くまで、谷口氏やスタッフが毎日通って仕入れており、食器やカトラリーなども、ほぼすべて地元の工芸作家に依頼している。
ドリンクは、日本酒の満寿泉が手掛けた白ワインほか、氷見のセイズファームなど日本ワインを多くそろえる。国外のワインではフランスとイタリアのものが多い。ワイン以外では富山の「満寿泉」や「勝駒」などの日本酒にも力を入れる。ペアリングはアルコール・ノンアルコールともに1種類ずつ設定があるので、新たなマリアージュを発見できるだろう。
軽やかでモダンな内装の店内は、カウンター4席のほか、3卓(各4席)のテーブル席と6席・4席の個室が2室。ダイニングは厨房とつながっており、谷口氏やほかスタッフが立ち働く様子が見える開放的なつくりだ。ゲストはコースが注文できるおよそ12歳以上から。谷口氏の料理をいただきたいという美食の集まりのほか、記念日などにも対応してくれる。海外ゲストについては英語と中国語が話せるスタッフがおり、料理説明も可能だ。
移転したことでより富山の自然が近く感じられるようになった『L'évo』。その土地の重みと魅力を、谷口氏が軽やかに皿の上に料理として生み出していく。季節ごとに変わるその魅力を、ぜひ実際に感じていただきたい。
■アクセス
JR高山線越中八尾駅より車で60分
JR城端線城端駅より車で40分
JR城端線、北陸新幹線新高岡駅より車で75分
JR北陸本線、北陸新幹線富山駅、金沢駅より車で90分
〒939-2518
富山県南砺市利賀村大勘場田島100番地