江戸時代より北前船で栄えた富山の港町、岩瀬町。当時の繁栄をしのばせる廻船問屋の立派な建物が多く現存するうちの一角、森家の土蔵群に2021年8月にリニューアルオープンした一つ星の名店『カーヴ・ユノキ』はある。カウンターメインで一斉スタートし、目の前で熾火の焼き窯を見ながら食べていただく劇場型のレストランに生まれ変わった。
シェフの柚木 栄樹 (ゆのき えいじゅ)氏は、富山県で3年フランス料理を学び、上京後は都内のフレンチレストランで腕を磨いた。故郷に戻りホテルの料理長を数年間務めたあと、2009年より現在のレストランで腕を振るう。生まれ育った富山の食材を知り尽くす柚木シェフは、「キトキトの魚」と呼ばれる富山の新鮮な鮮魚をはじめ、使用する食材は漁師や生産者から直接仕入れる地場産のものが9割を占める。「富山の良質な素材を尊重し、自然体の料理をめざしています」と柚木シェフ。フレンチを基盤としながら、よいと思う食材やテクニックはジャンルを超えて取り入れ、オリジナリティ溢れる料理に仕立て上げる。専用の焼き窯でじっくりと焼き上げるジビエをはじめ、季節の富山の食材すべてがスペシャリテだ。お酒も富山にちなんだラインナップで、同じテロワールで育った食材とお酒の見事なマリアージュを、料理に合わせたペアリングで楽しませてくれる。
築100年の蔵(カーヴ)を改装した広々とした店内は、天井の梁や柱が美しく、歴史が醸す重厚感と、友人宅のリビングに招かれたような安らぎが同居する。また、岩瀬はクリエイターの多い町でもあり、地元のガラス作家や陶芸家、木彫家などの作品を多く取り入れているのも『カーヴ・ユノキ』の特徴で、料理・器・空間すべてがここでしか体験できない価値を創造する。また貸し切りも最大10名様まで可能で、その場合はテーブルも使用する。
家族の記念日や接待などで県外から訪れるゲストも多数。進化し続ける柚木シェフの富山キュイジーヌの世界を、心ゆくまでご堪能いただきたい。
■アクセス
富山ライトレール 東岩瀬徒歩10分